過つは彼の性、許すは我の心 壱

 

 主語を使えよ坊ちゃん!と言いたくなったが、


「妃帥が、」

「妃帥ちゃんがなんて!?」


 天條君の言葉に前のめり食い付き、彼は半歩下がった。(何故?)


「夏休みに入るなら、遊びに来てはどうか、」

「ハイハイ!行きます!」


 更に半歩下がる天條君を目の前にして、いよっしゃあ!とガッツポーズを取る。


「漸くやな。俺も行ってええんやろう?」

「ああ」


 狂喜乱舞の私を尻目に、凌久君が天條君と話をしている。

 
「凌久君、お菓子とかどうする?おみや」

「あー…いらへんのとちがうか」

「いやいや失礼に当たるでしょう」


 マナー違反なんて妃帥ちゃんのお父さんに知られたら、可愛い娘のパートナーに相応しくない!って言われちゃうでしょうが!と言えば。


「持って来なくていい。そもそも天女目に会う為のものだから気にしなくて良い」

「へ…でも」

「此方の不手際でお前に迷惑を掛けているし、父からお前に直接謝罪したいと言っているから、気を遣わなくなていい」

「え!?お父さん!?どうしよう急に紹介なんて…まだ日取りとか決めてないし、プロポーズとかまだ…あプロポーズはしてた」

「紹介じゃないし、日取りも決めなくていい」


 天條君は至極嫌そうな顔をして。


「つづフルスロットルやな」


 凌久君は私を見てホッコリしてそうだった。