過つは彼の性、許すは我の心 壱



 彼女なら気づくだろう、鈍くはない方だ。

 きっと自分に何かあれば悲しむだろうし、引き摺るだろうな。

 自分にはその価値が無いのに。

 優しい、優しい彼女。

 どうかこのままでいて欲しいと願うと共に、嫌でも変化は訪れる。

 それは確信だった。


「ーーー分かりました、これからは気を付けます。でも、このままではいられない。遠い未来に俺は、先輩を傷付ける事になります」


 眉を跳ね上げる海祇渚には悪いが、こうなっては時間稼ぎをするしかない。

 細心の注意は払っているけれど、どうにもできない事がある。

 冷たい目で睥睨する癖に、疑いの眼差しを向けるアレが。

 妄執に囚われたあの老獪が。


「どういう意味だ」

「俺にも事情があります。いやでもそうなる。今の俺ではどうにも出来ないんです」

「…」


 大事な相手を必ず傷付けるなんて、意味が分からないだろう。

 でもこればっかりは俺が何でアレ、どうにも出来ない事だった。


「だから、お二人には傍にいて欲しいんです。役目は必ず果たしますから」


 ーーー人なんてどうでも良かった。
 
 自分の存在意義を考えれば、死んだ方が世の為だろう。

 そう考えていたのに、彼女と会ってから随分変わった。


『はい、これ!傘!じゃあね!』
 

 丁度荒れていてた時に、偶々会ってしまった彼女。