証拠を残す愚行は犯さなかったが、もっとやりようがあったことも理解していた。
でも、
『惣倉君』
柔らかく、此方を包み込む様な声が脳内に響く。
彼女を壊そうとするなんて。
そんなの、
「…しゃあないやろう、これから相手どる奴らはこれ以上におつむがおかしい奴らばっかや。これでつまづいてたら呑まれるぞ」
土師凌久の発言に意識が現実に戻る。
生徒会役員である為に、鍵を職員室に取りに行ったこの男も、今回も今後も、多いに関わってくるのでお呼びが掛かった。
土師凌久も元々天條側のためか色々見聞きはしているらしく、概ね俺の行動には肯定的だ。
けれど、海祇渚は首を振る。
「そういう意味ちゃう。俺も手段はどうでもええ」
「ほな何不満やねん」
呆れた様な土師凌久の言葉に、俺も何が不満か検討がつかなかった。
暴漢どもを、2度と同じ様な気を起こさない様にしてやったし、倉庫の鍵も入手出来て、彼女も解放もできたから、結果的には良かったんでは?と思ってしまう。
けれど、
「ーーーつづちゃんにとっては自分も大事な存在や」
海祇渚の言葉に目が瞬く。
「俺らがこんなところで顔を突き合わしてるのも、あの子の平穏を願うてるからや」
「…」
「自信があるならもっと上手い事隠せ、コントロールせんかい。お前が急におれへんようになりでもしたら、自分のせいだって思う」
「…」



