あの後、彼女はパニックを起こしていたが、あの女がベタベタしてくれたお陰で、彼女もそれほど落ち込まずに済んだ。
ホッと胸を撫で下ろす傍ら、放送で戻っていない生徒は教室に戻れとお達があり、自然と解散になった。
さてどっかで時間でも潰そうか。
そう思った所に、目線でこの後集合と言われてしまった。
そして、周囲に気取られないよう生徒会室に集ったわけだが。
「ほんで、やったのは自分か?」
結局あの場は有耶無耶に出来たけど、海祇渚は誤魔化せなかった。
きっとこの男の妹も気付いている。
海祇渚と海祇夏波は此方に近い感じはしていたが、やっぱりかと納得する。
なら、隠す必要もない。
「そうです」
俺の言葉にはあと溜息を吐いた海祇渚は、前髪を掻きむしり「阿呆がもっと上手にやらんかい」とお小言。
普通なら何やっているんだ!となるが、ここにはそう言うのに縁が無い人間しかいない。
「すみません、思った以上にやり過ぎて」
暴力的な部分はコントロール出来ると思っていたのに。
あの辺を通り掛かったのは本当に偶然だった。
『見ろよ、この女』
『なんだ?』
『女王様達の機嫌に触れたんだと』
『へえ可愛いじゃん…女王様達はなんて?』
『好きにしろだって』
『なら…、』
彼女をどうするか。
下劣に語る奴らの話を聞いていたらブレて・・・しまった。



