「渚君ってあの頃人間不信て言うか、対等な誰かが必要だったんだろうなって思って」
「俺そないに怯えとったか?」
後ろから覗き込む様に話す渚君。
怯えてたって言うよりは…、
「他人が何を考えているか分からないから、あんまり関わらないようにしているって感じだと思ってたけど」
『アンタ何のつもりで俺と関わる?』
怯えでもなく、恐怖でもない。
本当に強いからこそ、決して相手を侮らない故の警戒心と言うのか。
「兄さんは考え過ぎなのよ」
「夏波も俺と変われへんかったやろう」
「綴ちゃんなら兄さんと仲良くできると思ったから、綴ちゃんに兄さんと仲良くして下さいってお願いしたんじゃない」
「あのなあ…」
呆れた様な渚君に悪戯げに微笑む夏波ちゃん。
そうそう、夏波ちゃんと仲良くなったのが先なんだよね。
夏波ちゃんも前は周囲との関わりを望んでいなかったけれど、私と話す様になったあたりから周囲に馴染み初めて、一気にクラスどころか学年で知らぬ人はいない人気者になっていた。
沢山の友達が出来ても未だに夏波ちゃんは、私との付き合いも大事にしてくれる。
「綴」
「あ、ごめん」
ちょいちょいと私の服の裾を引っ張る妃帥ちゃん(視界の暴力)が、話の続きを促してくるので口を動かすことに集中した。



