「お前の兄貴に群がる奴と一緒やった」
「…」
「勝手に期待して、勝手に信じた。内心おちょくられてても文句も言われへん」
「今は馬鹿じゃないと?」
渚君はそれに答えずに間を開けて、
「…自分が正直なんであんな事したんか今も分かれへん」
口調は変わらないのに何処か悲哀に満ちている様に感じる。
「お前が不良品と呼ばれて平然としてるのも、何企んでるのかも分かれへん俺は、今のお前から見たらどあほなままなんやろ」
寂しげに話す渚君に何だかこっちが辛くなってくる。
私は、自然と支えてくれる渚君の手に自分自身の手を重ねた。
渚君は見上げると一瞬驚いた様な顔をしたが、直ぐに私の顔を見て嬉しそうに目を細める。
それにホッとすると、渚君の瞳は妃帥ちゃんを捉えた。
どんな荒波にも負けない、強い意思の宿る瞳。
「お前は俺の理解を拒んだ。せやけど、今回はそうはいけへん」
悲哀ではない、熱情とも言える気持ちが込められた言葉。
「ーーーつづちゃんが関わってるなら話は別や」
渚君ははっきりとそう続けた。
今度は私が驚いていると、妃帥ちゃんは肩に掛かる髪を払い除け、
「ーーー貴方に何が出来ると言うのかしら」
挑発的に渚君に問い掛けた。
「前は対等やなかった」
「何と前と違うの?」
「心の有り様や」



