ただの先輩でしかない私に対して、ここまで尽力してくれる彼の優しさに、答えられるのか分からないけれど。
「……先輩、本当に大丈夫ですか?」
少し困った様な彼の声に、顔を見上げる。
妃帥ちゃんとの舌戦や木野島君との攻防にも見せなかった戸惑う惣倉君。
眉を八の字にする惣倉君は、こうみると普通の中学生にしか見えない。
彼の時々見える素の姿を見ると、ぽかぽかと暖かい気持ちになる。
「大丈夫。惣倉君がいてくれるから」
ありがとう伝われ!という気持ちを込めて、痛くならない程度にきゅと手を握る。
そして、名残り惜し気に手を離した。
「凌久君」
後は、2人にも言わなきゃ。
くるりと凌久君に向き直る。
渚君と一緒に惣倉君の邪魔しないよう話を聞いてくれたし、私が不安な時は傍にいると示してくれた。
だからこそ、
「…凌久君はお家の人に勝手なことしたら怒られたりしない?」
以前話していたことを思い出してしまった。
『俺から教えられたって関係者…特に俺の親戚どもに知られたら、つづの立場悪なる可能性もある』
『そもそも土師も天條に怒らしたことあってな。“月”の一族ほどとちがうけど、干され気味やねん』
『土師もアホで、その干された原因が俺にある思うとってな。そやさかい今後アイツら…獅帥達と関わるってなると面倒事起きる可能性があるってこと』



