「そうして貰えるとありがたいです」
合間に入った天條君の制止すら、届かない2人のやり取り。
私も自分のことなのに殆ど口を挟めず、惣倉君に頼りっぱなしで面目ない。
本当だったら、私の口からお願いしなければならないことなのに…。
ヘタレな先輩でスミマセン…と思っていれば、
「先輩。話終わりました」
と急なパスが舞い込んだ。
「え」
「先輩から話すことありますか?」
話を振ってくれると思わなかったけど…でも惣倉君私のことよく分かっている。
ちゃんとお礼とお願いは自分でしたい。
「…えと、」
ちょっと人の視線が集まるのはドキッとする。それでも、惣倉君の見守る視線に勇気を貰った。
まずは、惣倉君に向き直る。
「惣倉君」
「はい」
「ありがとう。私の話なのに色々動いてくれて」
「俺がしたかったことなんで、先輩がお礼を言うことはないんですよ」
うん、惣倉君にとっては当たり前のことなんだよね。
こうやって人に優しくすることが、彼にとっては普通。
彼のその当然に、何だか胸が一杯になりながら、
「…それでもありがとう」
両手で彼の右手をそっと持って、自身の額に当てる様きゅっと握る。
「先輩?」
よく見るとまめやたこのある、傷だらけの手。
「…」
そして身体にある彼の傷。
きっと私より多くのことを抱えている。



