過つは彼の性、許すは我の心 壱


「そうして貰えるとありがたいです」


 合間に入った天條君の制止すら、届かない2人のやり取り。

 私も自分のことなのに殆ど口を挟めず、惣倉君に頼りっぱなしで面目ない。

 本当だったら、私の口からお願いしなければならないことなのに…。

 ヘタレな先輩でスミマセン…と思っていれば、


「先輩。話終わりました」


 と急なパスが舞い込んだ。


「え」

「先輩から話すことありますか?」


 話を振ってくれると思わなかったけど…でも惣倉君私のことよく分かっている。

 ちゃんとお礼とお願いは自分でしたい。


「…えと、」


 ちょっと人の視線が集まるのはドキッとする。それでも、惣倉君の見守る視線に勇気を貰った。


 まずは、惣倉君に向き直る。


「惣倉君」

「はい」

「ありがとう。私の話なのに色々動いてくれて」

「俺がしたかったことなんで、先輩がお礼を言うことはないんですよ」


 うん、惣倉君にとっては当たり前のことなんだよね。

 こうやって人に優しくすることが、彼にとっては普通。


 彼のその当然に、何だか胸が一杯になりながら、


「…それでもありがとう」


 両手で彼の右手をそっと持って、自身の額に当てる様きゅっと握る。


「先輩?」


 よく見るとまめやたこのある、傷だらけの手。


「…」


 そして身体にある彼の傷。

 
 きっと私より多くのことを抱えている。