過つは彼の性、許すは我の心 壱



 笑いの渦の中、2人の纏う空気が剣呑なものではなくなったのを感じた。

 少しだけ考え込んだ妃帥ちゃんは、


「いいわ。貴方の考えを聞かせて頂戴」


 惣倉君に譲歩を示す。

 笑いの渦が収束し、惣倉君はスッと目を細めた。

 あ、また惣倉君の怖いスイッチ入った。


「漸く話出来そうですね」

「侮り過ぎていたわ。貴方のこと」

「じゃあアップデート出来たところで確認するんですけど、そこの執事服の人は貴方のシンカンですか?」

「…違うわ」

「シンカンは?」

「いないわ」

「腐っても天條なのに?」

「私が望まなかったから」

「そうですか…」


 腐ってもは言い方が…なんて思ったけれど、2人は淡々と質疑応答を繰り返す。

 何処が似ているんだろうと思ったんだけど、根が似ているんだこの2人。

 それが自分の不利になろうが得になろうが感情を抜きにして、物事を考える事が出来る。

 やりとりを見ていると、事実兄妹である天條君より似ている様に思、「唐堂先輩」「はい!」


「先輩、心配なんですよね」

「えと、何がかな」


 急に話を振られたから、話について行けないのもそうなんだけど、流石に主語抜きだと分からない。


「ああすみません。彼女の体調が心配なんですよね」

「う、うんそうだね」

「でも会えるなら彼女の無理のない範囲で付き合いを続けたい、で合ってます?」

「…うんそうだね」