過つは彼の性、許すは我の心 壱



「だって、」


 チラリと天條君を見て、直ぐに妃帥ちゃんに視線を戻した。

 その行動の意味を把握できずにいると、


「貴方は焦っている」


 妃帥ちゃんの装甲が崩れた気がした。


「…私が何に焦っているって言うの?」

「深い理由まで分からない分からない、でも当たっていると思う」

「意味深ね、何が貴方如きに分かると言うのかしら」


 不愉快さを言葉にも隠さなくなった妃帥ちゃん。

 妃帥ちゃんのその態度に何かを確信した惣倉君は、穏やかな顔なのに口は弧を描かせ微笑む。

 美しい嗜虐性のある微笑みにゾクリと背筋が震えた。


「俺は貴方達を揃って見たことがなかった。視界に入れるのも嫌だったから。でも初めて貴方達が、貴方が。可哀想に見えたよ。貴方の焦りは伝わらない、理解しようともしない。空っぽ。虚な器、貴方は、」

「ーーーやめて」


 妃帥ちゃんの声が震えた。

 雌雄を決したように見えた。


「妃帥…」


 妃帥ちゃんは兄の助けを手を上げて制し「目的は何なの?」と惣倉君に問い掛けた。


「目的?」

「綴に近づいて、私達を殺す気?」


 こ、殺す気!?殺す気って言った今!?

 私が目をまん丸にしていれば、


「つ、惣倉君大丈夫?」

「ははははははっ…すいません先輩、天條に笑わせて貰うなんて思うわなくてはははっ…!」