「ごめん綴ちゃん怖がらせちゃって」
木野島君は気不味そうに謝罪する。
私は「いいよ大丈夫」と安心し切った気持ちで答えることが出来た。人が傍にいるって思ったら、途端に安心してしまう自分の現金さに呆れた。
「アンタ本当に何者?」
「何者と言われましても…」
火ノ宮君が非常に奇妙なモノを見るような目で見てくるが、この保健室内で1番普通なのは私!って宣言出来るぐらいには、大したバックボーンもない一般女子としか言い様がない。
「綴」
「ひ、妃帥ちゃん!」
いつの間に。
天條君が少し動揺したように「妃帥」って肩に触れるようとするが、それを軽やかに躱して私の前に来る。
「ごめんなさいね、綴。辛い目に合わせて」
白い指先が私の少しだけ腫れた瞼に触れる。
労わるようにそっと。
「あれ以来具合が良くなくって伏せていたの。でもちゃんと綴のことは覚えていたのよ。だから今日来たの」
小首を傾げて、会いに来たと悪戯っぽく笑いながら言う妃帥ちゃん。
会いに来てくれたのは嬉しいんだけど。
「…妃帥ちゃん、ありがとう。無理はしてないんだよね?」
「今日は調子がいいから大丈夫よ」
「そっか…」
今日はってことは、やっぱり長い間は外出するには妃帥ちゃんの体調的には良くないってこと?なんだよね。



