過つは彼の性、許すは我の心 壱


 ないぞって言おうとしたら、惣倉君が若干拗ねた目で見上げて来て、


「事実ですよ」

「え」

「俺の中で1番優先するのは先輩だけです」


 もっと大きい返しをされてしまった。

 可愛い、可愛い後輩がかっこよく見えちゃう。

 急に男の子っぽくなるの反則じゃない?

 
「先輩…?」


 心配気に伺う惣倉君に紅くなる顔を見られないよう、バッと顔を覆うとした瞬間ーーーガラリと。


「あれ、綴ちゃん?」


 保健室の扉が開かれた。


 浅黒く日に焼けた肌、体躯は豹の様に引き締まってもいて、でも女性的な凹凸にも恵まれてもいるから、男女両方の視線を惹く。

 顔の作りもお兄さんに似て掘りが深く、美的に優れている容姿を持ち、且つ溌剌とした10代の輝きを遺憾無く発揮している上に、大人になったらもっと輝くであろう美少女。


「もしかして怪我したの?」


 海祇夏波、私の友人でもあり渚君の可愛い妹ちゃんである。


「夏波ちゃん!保健室にお邪魔しています!」


 ちょっと助かったありがとう夏波ちゃん!(気恥ずかしさに死にかけた)


「それより怪我したの?見せて」


 いつも結っていない肩に届く程度の黒髪を、ポニーテールにしていて超可愛い。

 パタパタと近寄って来た夏波ちゃんは、膝下にいる惣倉君に気付いて目を丸くするが「ちょっとごめんね」と言って私の膝を確認する。


「大丈夫そう、良かった」

「勝手に保健室の備品使っちゃってごめんね」

「怪我した人に使う物だから良いの」