過つは彼の性、許すは我の心 壱



 普通にしてたらまあ関わらないけど。


「フレアって1人の女の子を囲うことよくあるけど、確かその子って中等部からだから、今日で2ヶ月でしょ?最長記録じゃん」

「だねえー…でもさ、姉小路先輩って天條君と付き合ってなかったっけ?」

「え?そうなのっ!?」

「あちゃー知らなかった?フレアファンの中じゃ有名よ」


 素っ頓狂な声が出ても仕方ないと思う。


 姉小路先輩。

 茶道お家元に生まれ、ご両親は何百人というお弟子さんを抱え、茶道教室でもご自身が見本となるほどの技術もお持ちで、部活動や生徒会もしっかりと熟す正に才色兼備の美女だ。
 
 
 姉小路先輩…大丈夫かな。


 ふと思い出すのは、姉小路先輩の優しい微笑み。

 
『大丈夫?』


ーーー煌めく長い黒髪を耳にかけ、桜の花弁が舞う青空をバックに微笑む姉小路先輩。


 入学式で迷っていた私に声を掛けた美しい、その人。

 当時の私は高校生になるのを機に地元を飛び出てきたこともあって、親しい友人も居なければ、親も仕事で来れず、頼れる人もいなかったから、勝手に孤独感も出て来て気持ちも投げやり気味だった。


 そんな中でキラキラと輝く女神の様な人が現れたら、アホ面にもなると思う。


『外部入学なんだ?』

『はい…そうなんです』


 そんな私を笑わずに『新入生?だよね、じゃあこっち』と手を引っ張ってくれた先輩は、只管色んな話をしてくれた。