その言葉に目を丸くする。
「…何で?」
「天條と関わるってそう言うことなんです」
作業を続けながら、淡々と惣倉君は続けた。
「天條に関わるとどんな人間でも変わらざる得ないんです」
「そう、は言われても」
「姉小路先輩」
その名前が出て息が止まりそうになる。
私や洋直ちゃん達のことは箝口令が敷かれているはずなのに、何で知っているの?
惣倉君は顔を見上げて苦笑する。
「先輩、天條ですよ。どれだけの人が天條の顔色を窺っているか。嫌でも噂とか憶測、事実を躍起になって調べる人もいるんですよ」
「…」
「先輩の敬愛する姉小路先輩だって良識のある優等生だったんですよね?」
こくんと頷く。
「その先輩が当たり前に持っていた故意に人を傷付けてはいけないという常識を、覆してでも相手を傷つけようとした。そんな何かが天條にあるんですよ」
「…」
惣倉君の言葉が重くのし掛かる。
皆から言われる得体の知れない、未だ実態も知れない天條という存在。
軽く考えていたわけではないけど、今実際に危険に晒された後だからこそ重く感じる。
「今回先輩が閉じ込められたのだって序の口かもしれない」
「…」
「天條が本腰入れて守ってくれるなら、俺の心配なんて必要ないと思いますけど、そうでもないし」



