下駄箱を経友して上履きに履き替えた私達は保健室に着いた。

 中に入ると1つを抜かしてベッドはガラ空きで、保健委員も養護教諭の姿も見られない。

 グラウンドには救護テントもあるんだけれど、確か保健室にも1人は在中することになっているはず、


「いないね」

「…」


 なんだけど…。

 何かあってグラウンドの方にでも行っているんだろうか。


「先輩座って下さい」


 惣倉君は長椅子に私を座らせてくれる。


「ありがとう、重かったのにごめんね」

「大丈夫ですよ。林檎4.5個分です」


 ふふそれは言わないでよーもうーコイツーなんてやりながら、惣倉君は消毒液とガーゼ、大きめの絆創膏を棚から持ち出す。

 前とは逆になっちゃったなあと懐かしみながら、惣倉君は「先輩、ちょっと失礼」と言って、私の目の前にしゃがみこむと、私の上履きを脱がせて、足を自分の膝に乗せる。


「傷は浅いですね、沁みますよ」

「っ…」


 消毒液をプシャアと膝に掛けると、傷をガーゼでポンポンと拭う。

 手早く大きめの絆創膏を貼り、


「靴自分で履くよ」

「いいですよ、手間じゃないんで」


 私に上履きを履かせてくれる。

 惣倉君は同じように片方の足も脱がしながら「先輩」と私に声を掛けた。


「うん?」

「今後は出来るだけ1人行動は控えて下さい」