過つは彼の性、許すは我の心 壱


 ぽろっと持っていたテープとガーゼが落ちる。


「うわあごめん本当だ」


 指摘されて顔に触れると、涙が出ていてビックリした。

 この彼の背景とか過去に思いを馳せると涙無しではいられないんだよ!と言いたいが、傷の手当てをしている人が急にオタク特有の早い口調で語っていると思っていたら、泣き始めるなんてドン引きだ。いや本当すみません!

「本当ごめん!」と言いながら、目に見えた傷は処置できたので彼に服を着る様に促す。


「面白いんですか?その漫画って」

「う、うんそうだね面白いよ」


 白いワイシャツを着た状態で、彼は顎に手を当てて考えている。

 よく見ると、やっぱり綺麗な子だなあと思った。

 綺麗と言うか、清潔感があると言うか、良い言葉が出ないんだけど。

 烏の濡れ羽色の髪も、顔の相貌がスッキリとして端麗な所も、どれだけ顔を近づけても無臭な(あんなに走ったのに全く汗臭くない)所も、以外と身体が格闘家のように仕上がっている所も。

 目立つわけじゃないんだけど、よく見ればトータルバランスに優れていると言えばいいのか。

 表現力に乏しくて嫌になるなあと思っていたら、ふと見上げた彼と目が合う。

 ドキリと胸が鳴った。


「漫画、俺にも教えてもらえますか?」

「…え、大分ネタバレしちゃったけど!?」