過つは彼の性、許すは我の心 壱



 でも姉小路先輩のおかげで、周囲にも溶け込めて来てもいたし。

 それに、


『沢山人と変わることでドラマが、物語が生まれるのよ』


 っておばあちゃんが笑って言っていたことを思い出して、自分から積極的に人と関わろうとしていた時期でもあった。

 要はタイミングだった。

 雨すごいからこれじゃあ寮に行くだけでも一苦労だなあとぼんやりの窓の外を見ていると、


「あれ、」


 校舎の裏手。土砂降りだから視界も悪かったのに、並木の木に寄り添う黒い学ランを着ている男の子が、どうしても目に付いた。

 散歩していたら雨降って来ちゃったのかな、迷子になっちゃったかな、とかぐるぐるして。

 私は鞄の中に入った傘をもう一度見て、よしっと1階まで走る。

 2階から1階までって結構息が上がるっ!

 うおおおって走って、上履きのまま中庭から外に続く廊下に出て、彼の元に急ぐ。


 あ、いた!


 まだぼーっと突っ立っているみたいで、あのっと声を掛けようとした瞬間、


ーーーーゾクリと背筋が総毛立った。


 真っ暗な穴の中に潜む正体不明の獣がジッとこっちを見ているような感覚に陥らされ、肌を打つ雨よりも身震いさせられた。

 見た目だけは雨も滴る美しい男の子なのに。

 これ以上近づいたら…まで行ってしまったが、いやもうこれは勢いだ!


「はい、これ!傘!じゃあね!」