心の中でぐらい巫山戯ないと、心身を良好な状態に保てない。
冷たい扉越しじゃ顔も声も分からないし、何を思っているのか見えないせいで怖いし不安が凄い。
そんな情けない先輩に惣倉君は、
「先輩、少し扉から離れてもらえますか」
謎の指示を与えた。
追加で「扉の横の方に行ってから離れてくださいね。後驚くと思うんで、耳も押さえていてください」もプラスされた。爆弾でも使うのってぐらいの指示だ。
「先輩離れました?」
「ま、待って!」
慌てて指示に従い、ぎゅっと耳を押さえた。
「いいよ!」
数秒後ーーー扉が、飛んだ。
扉って飛ぶんだ。常識は覆された。(大混乱)
雑な耳栓越しにドガンッと大きな音が響き、布団が吹っ飛んだ…ではなく、扉が吹っ飛んだ。
目が暗闇から日の光に晒されて、何も見えなかった。
けど、
「ーーー先輩大丈夫ですか?」
その声が聞こえた瞬間、膝と手の痛みも忘れて飛び付く。
「怖かった…ですよね」
「っ…!」
「でも、もう大丈夫です」
意外とがっしりとした身体付きの惣倉君が受け止めてくれているお陰で、安心感もあって、涙がおいおい出てくる。
ぎゅうっと惣倉君に抱きつけば、恐る恐る抱きしめて返してくれて、彼のその優しさに更に涙が溢れた。
「こわ、怖かった…!」
「うん」



