過つは彼の性、許すは我の心 壱



 準備の良いことに鍵を持って来てくれたようだけど「あれ開かない」と戸惑っている声が聞こえた。


あ、もしかして、


「…体育祭委員から倉庫の扉の1つが鍵開けても中々開かないのがあるって言っていた気がする」


 忙しかったから、修理依頼まで出来てなかったんだけど…まさかピンポイントで入れられてしまうとは。


「…なるほどそういうことですか」


 きっと神妙な顔をしているだろう惣倉君に、申し訳なさしかない。
 
 数秒の沈黙の後、


「先輩、少しの間離れても大丈夫ですか?人呼んで来たほうが早いかもしれないです」


 至極当たり前の発言をした。


「携帯持ってないですし、それが一番いいかと」


 そう。ここは、先生でも誰か応援を呼んでくるべきって分かってはいるんだけど。

 分かってはいるんだけど、


「先輩?」

「…っ」


 怖い、と思ってしまう。 
 
 たかだか数十分だとも分かっているのに、メンタル萎え萎えな今の私にはかなりの苦行だ。


「先輩もしかして怖い?」

「ううん!!?別に怖くないよ大丈夫!!」

 
 声が裏返ってしまって、言葉に真実味が持たせられない…くっ!


「怖いんですね」

「はいすみません怖いです」


 正直に答えれば「…分かりました」と言ってくれているが、内心呆れている…よね。

 こんな状況でふざけてんじゃねぇぞと思われているかも。