さあて入れてしまおう、後ろを向こうとした瞬間、背中をーーードンッと、強く押されて前から倒れる。
「っい…!な、」
倉庫に手と膝を打ちながら入らされ、振り向く間もなく、くすくすと笑う声とともに倉庫の扉が閉まってしまった。
「嘘でしょう…」
暗闇に包まれた倉庫には無論誰もいないし、開かない。
届かない倉庫の窓から微かに光が入り込むが、それ以外は真っ暗で本当に何も見えない。
「マジか」
体育祭のため携帯も携帯(駄洒落ではない)してないし、トランシーバーも持ってきていなかった。
覚えがあるのが、
「(るり様軍団か…)」
最悪。
あれ以降大人しかったし、天條君達が傍にいて仕掛けられることもなかったから油断していた。
「誰かー!!」
ガンガン扉を叩いてみるが、そりゃあ体育祭だからグラウンドに殆どの人はいるし、声も音も歓声で届かない。
膝はジンジンして痛むしでもう…。
「暗いの好きじゃないのに…」
扉の前にずるずるとしゃがみ、ぽつりと呟く。
暗闇の中で、昔怖いことが起きた。
どうしよもなく怖くて、手指の末端が冷たくなって、多分私はあの時間違えであって欲しいと祈っていた。
こんな怖いこと現実では起きてないって、そう思いたかった。
これは現実じゃない、これが普通なんだと思い込もうとして、心が悲鳴を上げているのも無視した。



