過つは彼の性、許すは我の心 壱



 来ました、体育祭。


 体育祭委員を置いて、朝っぱらから教卓で渚君が音頭を取っている。

 赤い鉢巻を首にかけた体操服とジャージルックの渚君は、箒をマイク代わりにクラスの士気を高めていた。


「積年の恨みを晴らす時や!!妥当白組いぃええ!!」

「何の恨みもないが倒すぞ白組!!」

「振られた彼女があっちにいるから倒すぞ白組!!」

「大事なプレミアのフィギュア壊した友達があっちにいるから倒すぞ白組!!」


 様々な理由から白組を倒す気持ちを一つに、開催を心待ちにする。

 体育祭委員も自分がやるよりは渚がやってもらった方がいいと、敢えてよけている超有能マン。

 私もこういう時の渚君大好き。


「おい天條!!」

「…」


 指こそ刺さないが、名指しされた天條君は怠そうに渚君を見上げた。


「序でにお前も倒す!」

「海祇〜一応天條は仲間だから」

「仲間やけど倒す!」

「駄目だこりゃあ」


 ノリノリの渚君を止めらるものは誰もいない。うんうんいいぞ渚君。


「学校行事になんてだっせぇから適当に力抜こう思春期病を発揮したら俺がお前を倒す!」

「倒すのは変わんないのか」


 体育祭委員のツッコミにも負けない渚君いいぞ。


「はあ…」

「出た出た!熱なってもうてアイツダリィ!って空気出したな!」