過つは彼の性、許すは我の心 壱


「アマガイはな…こう書くんやで」


 凌久君は書類の端に【天ヶ衣】と記入する。


 ま、まさか。


「天條家の分家ってこと?」

「そう当たり〜」


 凌久君はくるくるとペンを回して「3つある分家の1つな」と言った。


「また増えた…」


 ビスケット方式やめて欲しい。

 頭良くないからそんなに覚えられないし、天條家解剖図鑑とか欲しい、誰か作ってくれ。私が良い値で買うから。


「天ヶ衣は他の五曜家や外部の調整役やな。因みにさっき言うとった天女目も分家の1つな。天女目は通常ミケになった奴に天條家のしきたりやら教えたりするんやけど…」


 凌久君は眉を顰める。


「ーーー獅帥動く言うたんや、つづはちょい待っとけ」

「う、うん」


 何だか天條が関わると、私にとって良いことないな。(妃帥ちゃんのこと除く)


 疲れて来て、顔を机にくっつける。


 渚君や凌久君が顰めっ面になるし、それにーーー…。

 いつも“彼”がいる場所を見る。

 机に頬杖を付きながら、私を優しく見守ってくれる可愛い後輩。

 
「そっか、つづ元気があらへんのんはあの中坊のせいか」

「中坊?」


 黙って聞いていた洋直ちゃんが、こてんと首を傾げた。


「つづとよう漫画の話してる、アンタみたいに時々遊びに来る中等部生や」

「そうなんですね」