過つは彼の性、許すは我の心 壱


 そう言えば黒縁眼鏡はお母さんの形見って言っていたことを思い出した。

 形見って言い方だったから勝手に亡くなったものと思い込んでいたけど、行方不明になっていたのか。


「お父さんが塞ぎ込むよになってから、私も1人になることが多くなって。周囲から虐められるようになった頃、烈も天條先輩のお家から戻ってきたんです」


 続けて中々ヘビーな過去を話す洋直ちゃんに取り敢えず頷いていたが、烈が天條君のお家から戻ってきた?はてと首を傾げていると、


「シンカンに選ばれると行儀見習いって感じで、天條家に暫くの間預けられるんやで」


 凌久君が追加で補足してくれる。

 行儀見習いって…いつの時代と呆れてしまう。


「そしたら烈の扱いが急にご両親より上の人?扱いみたいになってて、前みたいに接することも許されなかったし、烈も今みたいにピリピリし始めて…」


 そこからいじめっ子といじめられっ子の関係性になったと。


「烈の傍に幼馴染ってだけの私がいるのも気に食わないって思う人も多くって、だから離れようと思えば烈に強く当たられちゃうし、でも烈のご両親はすっごく優しくしてくれるし、正直…疲れちゃってたんです」


 洋直ちゃんの語る人生は激動過ぎて、端々に苦労が滲み出ていた。


 でも。


「そしたら、」