過つは彼の性、許すは我の心 壱


「折角来てくれたのにごめんね」

「いえいえ!いいんです!私も家の事でちょっとバタバタしてて…」

「そうなの?」


 洋直ちゃんは大きな瞳を少しうるっとさせて、


「実は父が少し具合が悪くて…烈のご両親が病院を探してくださったり、また使用人として働かせてくれたりして、色々…」

「え、お父さん大丈夫?」

「父はその…アルコールの飲みすぎで…」


 気不味そうに言葉の最後を濁した。


「アル中?」

「凌久君ちょっと」

「いいんです事実なんで…それでも私は恵まれている方です。本当に烈の両親が良くしてくれて、逆に今回の天條先輩のお家で働くことになった時も謝られちゃって」


 親の病院の面倒から娘のバイトの面倒まで見てくれるって聖人君子過ぎないか、火渡君ご両親。

 失礼だけど子供の火渡君からあんまり想像がつかない。


「あ、私の父と烈のお父さんが遠い親戚なんです。小さな頃から仲も良かったみたいで、同じくらいに結婚して、子供も同い年でってなると家族ぐるみの付き合いに自然となったんです」

「はあ…」


 私の疑問に洋直ちゃんが説明を加えてくれた。

 まあ家族ぐるみの付き合いなら、あり得る話か。


「でも烈がシンカンに選ばれたぐらいに、お母さんまでいなくなっちゃって」