過つは彼の性、許すは我の心 壱


「アンタにとって、自分とあの妹以外は有象無象なんやろうなあ」

「…」

「残酷やな。あんたらの気紛れで手ぇ伸ばされ、構われ、さもあんたは特別や思わした瞬間、手ぇ離す」

「…」

「悪意があらへんなんて言えるのかいな」

「…」


 何も言わない天條君に苛立ったように、眉間に皺をよせる凌久君。

 天條君が何も言わないのはいつものことだけど、凌久君が木野島君と火ノ宮君に対する口調より強くなっているのは私の気のせいだろうか。


「お前は、」


 漸く天條君が口を開く。


「お前は、」

「…」

「お前は、」

「…あ、私に言っているの?」


 天條君が頷く。

 思わずリアルズゴーをしてしまいそうになった。

 私の方を見ながら急に壊れたラジオみたいに言葉を繰り返すから、え怖私だけもしかして世界線がズレている…!?とも思ってしまったが、どうやら本当に私に話しかけていたらしい。

 だってその前に凌久君と話(一方的だったけど)をしていたし、まさか凌久君の言葉に何も返さずに私に話しかけていると思わなかったよ。


…………とりあえず、空気も悪いし。


「はいはいお義兄様。分かりましたお話聞かせて頂きますよ」


 と、軽く天條君に返せば食い気味に「兄じゃない」と返されてしまう。


「ハッキリそこは否定するんだよね」