「その子はヤンチャで、男勝りで。その子の思いつきによく振り回されてたけど、全然嫌じゃなかった」
誰よりもキラキラしていて、誰もが思い付かないことを平然とやってのけるその特別さ。
皆んながあの子を見ていた。
皆んながあの子に憧れていた。
綺麗で特別なあの子と、やれやれと言いつつ内心ワクワクしながらついていく彼、大丈夫かなとか思いつつあの子に従う腰巾着みたいな私。
腰巾着でも構わなかった。
凡人の私が特別に触れるなんて奇跡に近かったから。
『綴遅い!』
『ご、ごめん』
『いいだろう綴だってわざとじゃないんだし』
『ワザとじゃなくても着いてくるのが綴でしょ!ほら!』
『わあ待って!』
『おい!』
語る私の横をいる筈のない3人の子供達が駆け抜けていく。
「私と彼の家に招いて遊ぶこともあったし、外に出て泥んこになるまで遊ぶこともあったし…本当に楽しかった」
「うん」
「でも、変わったのは中学入ってから」
潮の匂いがする。
「元々綺麗な子だったんだけど、大きくなるにつれて大人でも驚くぐらいの美人になっちゃって。きっと地元であの子より美人なんていなかった」
ヒラヒラとセーラー服の裾が舞った。
「海に行こうって言ったの、あの子が」
中学の入学式を終えてあの子が急に「海に行こう」と言った。
着いて早々海辺で裸足になって、彼女が軽やかに私に手を差し出した。



