◇
それからしばらく、二人はお茶を嗜みながら談笑した。
エリスが、「勉強の方はどう?」と聞くと、シオンは「順調だよ。今日は帝国法について勉強したんだけど、法体系はランデル王国とそれほど変わらなかったんだ。これならきっと、入学までには間に合うと思う」と笑顔で答え、
シオンが「姉さんは今日何をしていたの?」と尋ねれば、エリスは「午前中は本を読んで、その後はスコーンを焼いていたわ。今あなたが食べているものを」と微笑み、シオンを驚かせた。
「えっ、これ、姉さんが焼いたの?」
「そうよ。実は昨日のパイと、一昨日のサンドイッチもわたしが作ったの」
「嘘!? ……全然気が付かなかった。確かに、度々部屋から姉さんの気配がなくなるなと思ってはいたけど……」
「? わたしの気配?」
「――あ。……いや、こっちの話」
「……?」
シオンはエリスから視線を逸らし、皿の上の食べかけのスコーンをじっと見下ろす。
あまりに居心地が良すぎて、本来の目的を忘れてしまっている自分を不甲斐なく思いながら――。
それからしばらく、二人はお茶を嗜みながら談笑した。
エリスが、「勉強の方はどう?」と聞くと、シオンは「順調だよ。今日は帝国法について勉強したんだけど、法体系はランデル王国とそれほど変わらなかったんだ。これならきっと、入学までには間に合うと思う」と笑顔で答え、
シオンが「姉さんは今日何をしていたの?」と尋ねれば、エリスは「午前中は本を読んで、その後はスコーンを焼いていたわ。今あなたが食べているものを」と微笑み、シオンを驚かせた。
「えっ、これ、姉さんが焼いたの?」
「そうよ。実は昨日のパイと、一昨日のサンドイッチもわたしが作ったの」
「嘘!? ……全然気が付かなかった。確かに、度々部屋から姉さんの気配がなくなるなと思ってはいたけど……」
「? わたしの気配?」
「――あ。……いや、こっちの話」
「……?」
シオンはエリスから視線を逸らし、皿の上の食べかけのスコーンをじっと見下ろす。
あまりに居心地が良すぎて、本来の目的を忘れてしまっている自分を不甲斐なく思いながら――。



