――それは二人がそろそろ公園から出ようというときのことだった。
「姉さん。送っていく前に、少し腹ごしらえしてもいい?」
「いいけど、腹ごしらえって?」
「寮の夕食までまだ時間があるからさ。何かお腹に入れておきたいんだ」
そう言われたエリスがシオンの指差す方へ視線を向けると、そこには一軒の屋外売店があった。
看板のメニューには、飲み物やサンドイッチ、ドーナツ、フレンチフライなどが並んでいる。
(シオンは食べ盛りだものね。そういえばエメラルド宮にいた頃、殿下と同じくらいの量を食べていた気がするわ)
シオンの現在の身長は170センチに満たないが、きっとまだまだ伸びるのだろう。
そんなことを考えながら、エリスはシオンと共に売店に向かう。
そうして、列に並んだまでは良かったのだが――。



