(そうよ、楽しいことを考えればきっと気分も良くなるわ。例えばマリアンヌ様とセドリック様の恋の行方だとか……)
――実はエリス、アレクシスが出立前夜に寝台で「セドリックがマリアンヌからハンカチを返してもらっていた」と語った内容から、マリアンヌの想い人がセドリックであることを予想していた。
念のためアレクシスに「もしや、そのハンカチの色はグレーでしたか?」と尋ねたところ、「そうだが、なぜ君がそれを知っている?」と回答を得たため、予想というよりほぼ確信に近かったが、あくまで予想と言ったのは、まだマリアンヌ本人に確認できていないからである。
(三日前にお会いしたときに聞こうかと思ったけれど、聞いてほしくないことかもしれないし……と思ったら、結局聞けなかったのよね)
けれどアレクシス曰く、ハンカチのやり取りはクロヴィスの執務室で行われたとのことなので、思うにクロヴィスは承知の上ということなのだろう。
(クロヴィス殿下が良しとされるなら、可能性はゼロではないと考えていい……のかしら)
何にせよ、マリアンヌには幸せになってもらいたい。
エリスはそんなことを考えながら、図書館までの道のりを過ごすのだった。



