正直、ときめきを感じ得なかった。
この一週間の間に積み重なっていた不安な気持ちが、一瞬で吹き飛ぶように思えた。
だが、それでも、どうしても違和感が拭えない。
どうしてアレクシスは急に態度を変えたのだろうと。
その理由を、尋ねてもいいのだろうか。それとも……。
――エリスがそんなことを考え始めた矢先、アレクシスはエリスの気持ちを悟ったのか、あるいは、先回りするつもりなのか、神妙な顔で続ける。
「ここしばらく、君の相手をしてあげられずにすまなかった。君は気付いていただろうが……白状すると、俺は君のことを避けていたんだ。決闘直後、君が倒れたのを見て、どう接したらいいかわからなくなってしまってな。……情けない男だろう?」
「――! そんな、決してそのようなことは……!」
「いいや、そうなんだ。事実俺は、今朝になって事態が好転するまで、君とこうして話す勇気が持てなかったのだからな」
「……!」
――事態が好転。
その言葉に、エリスはハッとする。それは間違いなく、リアムの件についてに違いなかった。
この一週間、気にし続けていたけれど、結局一度も聞けなかったこと――それを今、アレクシスは話そうとしてくれている。
それを察したエリスは、覚悟を決めて、アレクシスに問いかけた。
「そのお話、詳しく聞かせてくださいますか?」
すると、「勿論だ」と頷くアレクシス。
「君にとっては、あまり気持ちのいい話ではないだろうが――」そう前置きをした上で、アレクシスは慎重に言葉を選びながら、ゆっくりと語り始めた。



