それは到底納得できる答えではなかった。
けれどアレクシスは、これ以上問い詰めても無駄だと悟る。
クロヴィスの口ぶりからするに、これ以上答える気はないのだろうから。
――が、そう思ったそのときだ。
「とは言え」と口にしたクロヴィスの声色が、変わる。
「エリス妃を巻き込んでしまったことについては、私も責任を感じていてな。お前たちを利用させてもらった恩もある。"例の噂"はこちらで処理すると約束しよう」
「――!」
この言葉に、アレクシスはハッと顔を上げた。
例の噂とは当然、エリスの不貞に関する噂のことだ。
アレクシスは当初、決闘を終えたらリアムに謝罪文を公表させるつもりでいた。それをもって、あらゆる憶測を治めようと考えていた。だがリアムの死により、本来の目的を果たせなくなってしまった。
そのせいだろう。貴族たちは皆、ルクレール侯爵に同情心を寄せているのだ。
表立っては口にしないが、リアムのみならずオリビアまでもが命を落とすことになったのは、エリスのせいだと、裏で囁き合っている。良き友人関係であったはずのアレクシスとリアムの仲を壊した、悪女であると。
(確かに、俺一人ではどうしようもないところまで広まってしまったが……)



