【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜



 アレクシスは、セドリックに持たせていた茶封筒を受け取りテーブルの上に置く。
 それをクロヴィスの前にスライドさせると、重々しく唇を開いた。

「答えてください、兄上。今回の件、どこまでが兄上の計画だったのですか。ここに書かれていた内容は、一朝一夕(いっちょういっせき)で調べられるものではない。リアムの生まれや虐待のこと。それに、孤児院の放火の犯人が侯爵の手の者であったこと……。兄上はそれを前々から知りながら、問題を放置していたのですか」

 もし事前に知っていたのなら、リアムがエリスに手を出す前に止められたのではないか。
 決闘などという大ごとになる前に、全てを防げたのではないか、と、そんな気持ちで。

「兄上に感謝しているのは本当です。結果的に、全てが丸く収まったのは兄上のお力添えのおかげですから。ですがもし、この騒ぎそのもの(・・・・)が兄上の仕業であったなら――」


 アレクシスは一呼吸置き、クロヴィスを鋭く見据える。


「――俺は、兄上を許さない」