「リアム・ルクレール。お前を、国外追放の刑に処す」
アレクシスがそう告げると、リアムは地面に両ひざをついたまま、ピクリと瞼を震わせた。
それはまるで、その罰が酷く期待外れであったとでも言うような、何かを諦めきった顔だった。
――やはりお前は、私を殺してはくれないのだな。
そう言いたげな瞳をしていた。
それでも、オリビアの前だからだろう。リアムはその言葉を口にすることはなく、アレクシスの宣告を受け入れる。
「わかった。私は国を出る。……それでいいんだな?」
「お兄様、そんな……!」
「いいんだ、オリビア。私のしたことを考えれば、アレクシスの決定は甘すぎるくらいだ。お前になら分かるだろう?」
「……っ」
本当なら殺されていて当然だった。
少なくともリアム自身はそれを望んでいたし、その為にアレクシスを大いに煽ったつもりだった。
にも関わらず、アレクシスは結果的に、リアムに傷一つ付けずに決闘を終わらせた。
それを情けと言わずして、何と言うのだろうか。
――だが、素直に罰を受け入れたリアムに、アレクシスはこう続ける。
「勝手に話を終わらせるな。まだ続きがある」
「続き、だと?」
「そうだ。お前がこれから向かうはランデル王国。そこでお前は、帝国を追われた貴族ではなく、全く別の人間として生きることになる。リアム・ルクレールの名は捨て、新たな名を名乗ってな」
「……別の人間として? だが、そんなこと――」
「可能だ。その為に俺は、お前たち二人と、よく似た容姿の遺体を用意したのだからな」
「――っ」
刹那、リアムの瞳が大きく見開かれる。
アレクシスの言葉の真の意味を理解して。
「……そんな。だが、それでは……」
「罰にはならないと? ――ああ、そうだな。俺もそう思っている。だが、エリスはお前を許すと言った。お前とオリビアが共に生きる道を用意しろと、彼女が望んだ。だから――」
アレクシスは一呼吸置くと、二人を見下ろし、言い放つ。
「リアム、お前にはここで死んでもらう。――オリビア、お前はどうする? 兄と共に行くか、今すぐ選べ」
――そして、次の瞬間。



