「……『Luca』? これがリアムの本当の名前なのか?」
「はい。ランデル語で『光をもたらす者』と言う意味ですね。帝国語ですと、第四皇子殿下の御名、Lucasがこれに当たります。リアム様の母親は、ランデル王国出身だったのでしょう」
「……ルカ」
アレクシスは繰り返す。が、正直違和感しか感じなかった。
アレクシスにとってリアムはリアムであり、今更別の名前だったと言われても、大した意味を持たなかったからだ。
だが、きっと、本人にとっては大いに意味のあるものなのだろう。
――それにしても。
「セドリック、お前、本当にこれを一人で調べたのか?」
アレクシスには到底信じられなかった。
たった五日で、それも夕方以降の短い時間で、これだけのことを調べ上げたなどとは。
するとその問いに、セドリックは肯定も否定もせず、微かに口角を上げる。
それはつまり、協力者がいるということを意味しており、アレクシスは全てを悟った。
(ああ、やはりそうか。……兄上め)
こうなると、ジークフリートが今帝都にいることすら、クロヴィスの策謀なのではと思えてくる。
その目的は不明だが、何もかもが、クロヴィスの手のひらの上のことのように感じてしまう。
いや、事実、自分は転がされているのだろう。
だが例えそうだとしても、やることは変わらない。
今のリアムの置かれた状況からして、エリスの望みを叶える方法は、たった一つしかないのだから。
アレクシスは腹を括り、セドリックに命じる。
「お前はこれから遺体安置所に行き、若い男女の遺体を探してこい。できるだけ良い状態のものをな」
「……! 承知しました。衣類もこちらで手配しておきます。して、殿下はどうなさるのです?」
「ジークフリートに会いにいく。死人の受け入れ先が必要だからな」



