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その後、一旦状況を整理すべくエリスを自室に呼び出したアレクシスは、エリスから話を聞いて大きく眉を寄せた。
「――何? シオンを宮に泊まらせたいだと?」
「はい。どうやら、まだ寮の部屋の準備が整っていないらしいのです。シオンは宿を借りると言っておりましたが、あの子はまだ未成年ですし、ひとりで何日も宿に泊まらせるのは心配で……。侍女に聞いたら、男性であっても親族ならば泊めることができると。それに、わたくしもシオンと積もる話もありますし……。二、三日でもいいので、お許しいただけないでしょうか?」
「…………」
「……駄目、ですか?」
「いや……駄目というわけではないが」
アレクシスは口ごもる。
正直、反対だった。いくらエリスの望むことでも、こればかりは受け入れられないと思った。
シオンを泊めるとしたら、部屋は当然エリスの住む南棟になる。皇子であるアレクシスの住まう本棟には、何人たりと泊めることはできないからだ。
(シオンはエリスの実弟だ。だが……)
アレクシスの脳裏に過ぎる、舞踏会でのシオンの言葉。
シオンはあのときはっきりと、「僕は姉を望みます」と、そう言い放ったのだ。
(あの男は危険だ。とはいえ、ここでそれを知るのは俺一人……)
――そもそも、だ。
アレクシスには、『シオンが寮の部屋の準備が整っていないことを知らずに帝国入りした』とは、どうしても思えなかった。
わざわざ予定より早くやってきて、真っ先にエリスに会いにきたのは、この状況を作り出すためだったに違いない、と。
その後、一旦状況を整理すべくエリスを自室に呼び出したアレクシスは、エリスから話を聞いて大きく眉を寄せた。
「――何? シオンを宮に泊まらせたいだと?」
「はい。どうやら、まだ寮の部屋の準備が整っていないらしいのです。シオンは宿を借りると言っておりましたが、あの子はまだ未成年ですし、ひとりで何日も宿に泊まらせるのは心配で……。侍女に聞いたら、男性であっても親族ならば泊めることができると。それに、わたくしもシオンと積もる話もありますし……。二、三日でもいいので、お許しいただけないでしょうか?」
「…………」
「……駄目、ですか?」
「いや……駄目というわけではないが」
アレクシスは口ごもる。
正直、反対だった。いくらエリスの望むことでも、こればかりは受け入れられないと思った。
シオンを泊めるとしたら、部屋は当然エリスの住む南棟になる。皇子であるアレクシスの住まう本棟には、何人たりと泊めることはできないからだ。
(シオンはエリスの実弟だ。だが……)
アレクシスの脳裏に過ぎる、舞踏会でのシオンの言葉。
シオンはあのときはっきりと、「僕は姉を望みます」と、そう言い放ったのだ。
(あの男は危険だ。とはいえ、ここでそれを知るのは俺一人……)
――そもそも、だ。
アレクシスには、『シオンが寮の部屋の準備が整っていないことを知らずに帝国入りした』とは、どうしても思えなかった。
わざわざ予定より早くやってきて、真っ先にエリスに会いにきたのは、この状況を作り出すためだったに違いない、と。



