(こいつ、さっきから俺の剣に突っ込んでくるような動きばかり。セドリックの言った通り、こいつの本当の目的は……)
アレクシスは二秒ほど押し合いをした後、半身ずらしてリアムの剣を横に流し、改めて間合いを取り直す。
――セドリックは昨夜言っていた。
リアムの目的は『死』そのものではないかと。
後継者死亡に伴う、『家門の衰退』なのではないか、と。
アレクシスはそれを聞かされたとき、まさかと思った。
だが同時に、全ての糸が繋がった気がした。
わざわざリアムが使用人たちの前で出生の秘密を明かし、自分やエリスを侮辱したのは、自分への恨みだけではなく、後継者としての正統性を周りに疑わせるためだったのではと。
アレクシスは一挙動でリアムの懐に飛び込み剣を薙ぎながら、本降りになった雨音に搔き消されないよう、声を張り上げる。
「お前の目的は、家門の滅亡か……!?」
父親から暴力を受けて育ったリアムにとって、オリビアだけが唯一の救いだった。
そんなオリビアを手放さなくてはならなくなったリアムは、未来への希望を一切持てなくなったのだろう――セドリックはそう語った。
「答えろ、リアム! お前は自らが家門の汚点となり、不名誉な死を遂げることを望むのか!」
――『家門の滅亡』『不名誉な死』
その言葉に反応したのか、リアムが再び踏み込んでくる。
「黙れアレクシス! お前に私の気持ちが分かるものか――!」
「……ッ!」
刹那、アレクシスの頬を掠める、リアムの剣先。
アレクシスはそれをギリギリのところでかわすと、剣を正面から振り抜き、押し合いに持ち込んだ。――リアムを説得するために。



