アレクシスが今度はクロヴィスに視線をやると、クロヴィスはそれを待っていたかのように目を合わせ、ほくそ笑む。
その意味深な笑みに、アレクシスは悟らざるを得なかった。
(――ハッ! 早く終わらせろ、という意味か……!)
クロヴィスはおそらく、『エリスにちょっかいを出されたくなければ一刻も早く片を付けろ』と言いたいのだ。
その理由は分かっている。
今しがた降り出した、この煩わしい雨のせい。
――そう思った刹那、リアムから繰り出された鋭い一撃が、アレクシスを襲った。
「決闘中によそ見とは余裕だな、アレクシス……!」
「――ッ」
同時に、ギィン――と重い金属音を立て、二人の剣がぶつかり合い、拮抗する。
(……ッ、想像以上にやり辛い……! リアムが腕を上げているというのもあるが、それよりも……)
戦いづらい理由は明白だ。
リアムが、むやみに間合いを詰めてくるからである。
――通常、間合いとはめったに詰めるものではない。
詰めすぎると、刀剣の武器としての攻撃特性を出せないからだ。
だから実戦で接近戦になった場合、攻めよりも防御を優先するし、反撃する場合は体術を使うことになる。
殴るか、蹴るか。力に任せて投げ飛ばすか。
だが、決闘では体術の使用が許可されていない。そのため、適度な間合いを保ちつつ戦うのが通常の形なのだが、リアムは『そんなこと構うか』とでも言いたげに突っ込んでくる。
そんなリアムの無謀とも呼べる戦い方は、剣術と体術の複合戦闘を得意とするアレクシスにとって、やりづらいことこの上なかった。



