「……それで、あなたは何と答えたの?」
「そんなの決まってるよ。『オリビア様はそんなこと望んでない。彼女の気持ちに応えなければいけないのは、あなただろう』って。そもそも僕とオリビア様はそういう関係じゃないからね。周りからは、どう見えているかわからないけど」
「……そう」
「でも、僕はあの目を見て確信したんだ。リアム様は、オリビア様を変わらず大切に思ってるって。そしたらさ、何かもう、よくわからなくなっちゃって。今もリアム様のことは許してないけど……そもそも姉さん本人が、少しも気にしてないんだもんなぁ」
「……シオン」
――シオンが呆れたように肩を竦めたところで、丁度目的地へと到着したようだ。
巨大な鉄格子のような外門の前で馬車が停止して、扉をコツコツと叩かれると、衛兵から基地内への『立ち入り許可証』の提示を求められる。
エリスは緊張しながら、今朝アレクシスから手渡された、アレクシスのサイン入りの許可証を二枚、シオン経由で衛兵に提示した。
すると、まるで地響きのような音がして門が開き、再び馬車が動き出す。
その後馬車はいくつかの角を曲がり、今度は内門で再度許可証を提示して、更にしばらく進んでから、闘技場らしき建物の手前で停止した。
今度こそ、本当に目的地に到着だ。
「姉さん、準備はいい?」
「……ええ、大丈夫よ。行きましょう」
エリスはシオンにエスコートされ、慎重に馬車を降りる。
そうして、馬車の外に待機していた軍人四人に前後を挟まれながら、闘技場内へと足を踏み入れた。



