「ありがとう、シオン。――でも、何だか少し変な気分ね」
「変って?」
「だって、あなたはリアム様のこと、絶対に許さないって言っていたじゃない」
「……ああ、それは……」
エリスが心のままに呟くと、シオンはスッと目を細めた。
そうして、話すべきか迷うような素振りをした後、教えてくれる。
「実は今朝、リアム様と少しだけ話をしたんだ。今朝と言っても、日が昇る前だから深夜と言った方が正しいかもしれないけど」
「リアム様と話せたの?」
「うん。流石に決闘当日に部屋から出ないわけにはいかないだろう? だから僕、昨夜からリアム様の部屋を見張ってて。出てきたところに声をかけて、オリビア様の気持ちを伝えたんだ。オリビア様が心から一緒にいたいのは、殿下ではなくあなただって」
「……! それで、リアム様はなんて?」
「少し驚いた風ではあったけど、それについては特に何も。ただ……」
「……ただ?」
「リアム様、悲しそうに笑ったんだ。『君がオリビアの相手であれば』って」
「……っ、……それって」
刹那、エリスは心臓を鷲掴みにされたような気分になった。
『君がオリビアの相手であれば』と口にしたときの、リアムの苦しい心の内を想い、胸が痛んだ。
(……『君がオリビアの相手であれば、幸せになれたかもしれないのに』)
きっとリアムは、そう言いたかったのだろう。



