――『どうかお二人を、引き離さないでいただけないでしょうか?』


 エリスがアレクシスにそう頼んでから、二日が経った決闘当日の朝。

 エリスは、今にも雨が降り出しそうな曇天の下、シオンの迎えの馬車に乗り、決闘場所である帝都第二陸軍基地へと向かっていた。

 もうまもなく開始される決闘に大きな不安を抱えながら、この二日間のことを思い出していた。


(結局、あれから殿下とはほとんど話もできないまま、この日を迎えてしまったわ。今日の決闘、どうなってしまうのかしら……)