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そして今。
アレクシスは自室で軍服を脱ぎながら、先ほどの自身の行動を悔いていた。
(この俺としたことが、まさかエリスの前から逃げ出すとは。……戦場ですら、敵に背を向けたことはないというのに)
――エリスはどう思っただろうか。
いつもなら帰るなりエリスを全力で抱きしめる自分が、何もせずに部屋に直行したのだから、きっと変に思ったはず。
いや、変に思われるだけならまだマシか。
もしエリスが本当にどこかしらから『決闘』の件を聞いたのだとしたら、不信感や不満を抱いていてもおかしくない。
その上『逃げた』となれば、怒ったり、呆れられても文句は言えない。
――ああ、こんなことになるのなら、もっと早くに話しておくべきだった。
アレクシスは自己嫌悪に陥って、けれど、内心大きく首を振る。
(いや、待て。まだ決まったわけじゃない。エリスは『話がある』と言っただけだ。それに話は食事の後。まだ、挽回は可能だ)
エリスより先に、自分が話してしまえば――。
アレクシスは、『今度こそエリスに話さなければ』と決意を固め、エリスの待つ食堂へと向かった。



