その日から、オリビアにとってのリアムは、ただ頼もしいだけの存在ではなくなった。
リアムのことは以前と変わらず慕っていたが、それだけではなく、支えてあげたい存在になった。
父親に虐げられる兄の心を、少しでも癒してあげられたらと、そう思うようになった。
だが、そんな日々は突然終わりを迎える。
兄妹仲が良すぎることを不都合に思ったルクレール侯爵が、オリビアにリアムの出生の秘密を明かしたのだ。
「アレの母親は娼婦だ。以後、軽々しく付き合うな」と。
そうして、オリビアに縁談を持ってきたのである。
オリビアは憤った。
リアムが庶子であることではなく、リアムと付き合うなと言われたことに。
勝手に縁談を用意されたことに。
当時十三歳だったオリビアは、侯爵令嬢としてはとっくに婚約者がいてもおかしくない年齢だったが、異性にも結婚にも全く興味がなかった。
オリビアはただ、リアムの側にいられればそれだけでよかった。
リアムが庶子だと知って、その思いは一層強くなった。
庶子であるために虐げられ、それでも後継者として、一生父の言いなりになって生きなければならないリアムの苦しみを理解し、寄り添えるのは、妹の自分だけである、と。
その為に、婚約や結婚はできるだけ遠ざけなければならない。
そう考えたとき最も都合のいい相手が、皇子であり、女嫌いでもあるアレクシスだったのだ。



