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――「しばらく、宮の外には出ないでくれないか」
アレクシスからそう言われたのは、五日前、演習から戻ったアレクシスと再会した、その日の夜のことだった。
入浴後の眠りから覚めたエリスは、その後宮廷から戻ったアレクシスに、このように告げられた。
「俺のいない間に、また今回のようなことが起きたら困る。まして君は妊娠している身だ。この件が全て片付くまでは、宮内で過ごしてほしい」と。
「…………」
(この件、というのは、わたしの噂のことよね。つまり、噂が完全に鎮火するまで大人しくしていろ、という意味かしら……)
決闘のことを知らされていないエリスは、アレクシスの言葉に少々の疑問を持ったが、懇願するようなアレクシスの表情を見て、頷かないわけにはいかなかった。
それに、そもそもリアムとの一件は、「俺が戻るまで大人しくしていろ」とのアレクシスの言葉を守らなかった自分に責任がある。
エリスはそのように考えていたため、アレクシスがそれで安心できるなら、と素直に従ったのだ。



