【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜



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 アレクシスはリアムの屋敷へ全速力で馬を駆けながら、かつてのリアムの言葉を思い出し、手綱を強く握りしめる。


(――ああ言っていたお前は、オリビアの療養のためだと、たった二年で海軍を辞めた。今思えば、既にお前はあのとき、俺に愛想を尽かしていたのだろう)

 リアムが海軍に入ったのも、泳ぎを覚えたのも、全てはアレクシスのためだった。

 だから、辞めるときも一瞬だった。

 それでも軍自体を辞めなかったのは、未練が残っていたからか。
 あるいは、アレクシスとの繋がりを残しておく必要があったからなのか。

 アレクシスにはわからなかったが、ともかく、どうしてリアムが今回のような行動を起こしたのか。なぜエリスの噂を流したのか、直接話を聞かなければならない。


 お前は俺を恨んでいるのかと。

 オリビアを傷付けた俺に、復讐するつもりだったのか、と。

 その為にエリスに近づいたのかと。

 全ては、俺のせいなのか――と。