◇
(……でも、まだ返事がいただけてないのよね)
エリスは、ウェイターが運んできた紅茶を嗜みながら、再び小さく息を吐く。
リアムに断りの返事を出して以降、気持ちは随分とすっきりした。
オリビアやリアムへの罪悪感は残れども、これで心置きなくアレクシスを出迎えることができる、と。
けれど、一つだけ気になることがあった。
一週間が経っても、リアムからの返事がないのである。
(やっぱり気分を害してしまったのかしら。下手な言い訳をするのもどうかと思って、結論だけを書いたのが良くなかったのかもしれないわ)
とは言え、こればかりは仕方ない。
リアムから恨まれようとも構わない――エリスはそんな覚悟を決めて、断りの返事を送ったのだから。
(それにしても、マリアンヌ様はまだかしら。時間に遅れられるなんて、初めてのことよね)
――と、そう思ったその時だ。
不意に足音が聞こえ、エリスはそちらを振り返った。
ようやくマリアンヌが到着したのかと、そう思ったのだ。
だが、違った。
そこにいたのは、マリアンヌではなく、リアム。
何の前触れもないリアムの登場に、エリスは驚きを隠せない。
(リアム様? どうして、こちらに?)
偶然だろうか。――きっとそうだ。
ここは帝国図書館。リアムがいても何らおかしくはない。
けれど、どうしてだろうか。
どうにも、嫌な感じがするのは……。
(……でも、まだ返事がいただけてないのよね)
エリスは、ウェイターが運んできた紅茶を嗜みながら、再び小さく息を吐く。
リアムに断りの返事を出して以降、気持ちは随分とすっきりした。
オリビアやリアムへの罪悪感は残れども、これで心置きなくアレクシスを出迎えることができる、と。
けれど、一つだけ気になることがあった。
一週間が経っても、リアムからの返事がないのである。
(やっぱり気分を害してしまったのかしら。下手な言い訳をするのもどうかと思って、結論だけを書いたのが良くなかったのかもしれないわ)
とは言え、こればかりは仕方ない。
リアムから恨まれようとも構わない――エリスはそんな覚悟を決めて、断りの返事を送ったのだから。
(それにしても、マリアンヌ様はまだかしら。時間に遅れられるなんて、初めてのことよね)
――と、そう思ったその時だ。
不意に足音が聞こえ、エリスはそちらを振り返った。
ようやくマリアンヌが到着したのかと、そう思ったのだ。
だが、違った。
そこにいたのは、マリアンヌではなく、リアム。
何の前触れもないリアムの登場に、エリスは驚きを隠せない。
(リアム様? どうして、こちらに?)
偶然だろうか。――きっとそうだ。
ここは帝国図書館。リアムがいても何らおかしくはない。
けれど、どうしてだろうか。
どうにも、嫌な感じがするのは……。



