確かに、ジークフリートの言葉は間違ってはいない。
セドリックはエリスの輿入れ前、釣書を見たときから、エリスがアレクシスの初恋の相手かもしれないと予想していた。
だがその予想に反し、アレクシスは初夜の翌日、『エリスの肩に火傷の痕はなかった』と言ったため、セドリックは二つの可能性を考えなければならなくなった。
一つは、二人が別人であること。
もう一つは、本人であるが、火傷の痕を隠しているという可能性。
だからセドリックは舞踏会の夜、エリスの弟をランデル王国に送り返す直前、カマをかけたのだ。
エリスが本物であるという前提で、火傷の原因を探るような聞き方をし、火傷の痕があることを確かめようとした。
するとシオンから返ってきた答えは、「火傷など知らない」ではなく「言えない」。
つまり、火傷の痕が残っていることが、その時点で確定したというわけだ。
だが、セドリックはそのことをアレクシスに報告しなかった。
その理由は、アレクシス自身の手で答えに辿り着いてほしいと、セドリックが願ったからだ。
その心を、ジークフリートは『愛』だと言うが、セドリック自身は単なるエゴだと考えている。――とは言え、訂正するほどのことでもないだろう。
セドリックは肯定を沈黙で示し、アレクシスが視界の端にいることを確認してから、ジークフリートに問いかける。
「私も、一つお尋ねしてよろしいでしょうか」
「なんだい?」
「なぜ、そこまでアレクシス殿下を気にかけるのですか? 正直、学生時代の殿下の態度は無礼と言わざるをえないものでした。それなのにジークフリート殿下は、殿下の恋を『応援していた』と仰った。それが、どうしても腑に落ちないのです」
セドリックはエリスの輿入れ前、釣書を見たときから、エリスがアレクシスの初恋の相手かもしれないと予想していた。
だがその予想に反し、アレクシスは初夜の翌日、『エリスの肩に火傷の痕はなかった』と言ったため、セドリックは二つの可能性を考えなければならなくなった。
一つは、二人が別人であること。
もう一つは、本人であるが、火傷の痕を隠しているという可能性。
だからセドリックは舞踏会の夜、エリスの弟をランデル王国に送り返す直前、カマをかけたのだ。
エリスが本物であるという前提で、火傷の原因を探るような聞き方をし、火傷の痕があることを確かめようとした。
するとシオンから返ってきた答えは、「火傷など知らない」ではなく「言えない」。
つまり、火傷の痕が残っていることが、その時点で確定したというわけだ。
だが、セドリックはそのことをアレクシスに報告しなかった。
その理由は、アレクシス自身の手で答えに辿り着いてほしいと、セドリックが願ったからだ。
その心を、ジークフリートは『愛』だと言うが、セドリック自身は単なるエゴだと考えている。――とは言え、訂正するほどのことでもないだろう。
セドリックは肯定を沈黙で示し、アレクシスが視界の端にいることを確認してから、ジークフリートに問いかける。
「私も、一つお尋ねしてよろしいでしょうか」
「なんだい?」
「なぜ、そこまでアレクシス殿下を気にかけるのですか? 正直、学生時代の殿下の態度は無礼と言わざるをえないものでした。それなのにジークフリート殿下は、殿下の恋を『応援していた』と仰った。それが、どうしても腑に落ちないのです」



