刹那、シオンの見上げるような視線を受け、オリビアが頬を赤く染めたように見えたのは、エリスの気のせいではないだろう。
(まあ、オリビア様が照れていらっしゃるわ。とてもお可愛らしい。……でも何だかまるで、シオンがオリビア様を口説いているように見えるのよね。これって大丈夫なのかしら……)
エリスは、これがシオンの通常運転だと知りつつも、恋愛関係に発展するような誤解を与えなければいいけれど……と少しばかり心配し、ちらりとリアムを横目で見やる。
が、リアムは特に思うところはないのか、初々しい反応を見せる妹を見て、ずっとニコニコしていた。
(リアム様は気にされていないご様子だわ。ということは、シオンのやり方は間違いではないのね)
正直なところエリスは、帝国に来るまで友人の一人もいなかったこともあり、未だに友人の作り方がよくわかっていなかった。
まして男女間での友人関係の構築方法などまったく知識がないわけで、シオンがどのようにしてオリビアと友人になるのか、非常に気になると同時に、不安の種でもあった。
が、こうして見ていると、シオンは自分よりも、ずっと上手にオリビアと接している。
そんな弟の様子に、エリスはただ感心するばかりだった。



