そう考えながら、一応手紙を読んでみたところ、
『オリビアは昔から病気がちで、未だデビュタントすら済ませていないこと』
『友人を作る余裕もなかったこと』
『次のデビュタントで社交界デビューを済ませたら、辺境の子爵家に嫁がねばならないこと』などが記されており、シオンも同情せずにはいられなかった。
(確かに、これが事実だとするなら、オリビア嬢があまりにも不憫だ。姉さんが相談もなしに返事を送ってしまったというのも、頷ける)
シオンは色々と考えた末、結論を出す。
「わかった。僕も行くよ。でもこれだけは約束して。絶対に無理はしないこと。気分が悪くなりそうになったらすぐに僕に言うこと。それから、姉さんの正体を知ってるリアム様はともかくとして、オリビア様とは僕が主に話すから、姉さんはなるべく黙ってること」
「え……、黙ってるって……お茶会なのに?」
「だって姉さん、ランデル語は話せても、文化も歴史もほとんど知らないだろう? 流石にたった三日じゃ、勉強するにも短すぎるし」
「……そうね、わかったわ。なるべく帝国の話題に持っていきましょう。リアム様も、そのあたりは配慮してくださるって仰っているから」
「うん、お願いね」
シオンは、上記のことをエリスに言い聞かせた上で、
「今言ったことを守れなかったら、殿下が戻ってくるまで外出禁止だからね」
と付け足すと、エリスは目をぱちくりとさせたが、前回シオンに心配をかけてしまったことを申し訳なく思っていたこともあり、大人しく頷いた。
こうして二人は、ルクレール家でのお茶会に参加することが決まったのだ。



