【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜


(つまりは、殿下がリアム様に牽制した……ということか? だがそうだとしても、『オリビア様を娶るつもりはない』と宣言する理由にはならないと思うが……)

 状況に理解が追いつかず、セドリックは考え込む。

 せめてこの場にリアムが残ってくれていれば、直接話を聞くこともできたのに――と思ったが、リアムは既に持ち場に戻ってしまった後だったため、結局、決定打は見つけられないままだった。


 ――が、今になってようやくその謎が解けた。

 アレクシスは、リアムから何度も『オリビアとの結婚』を迫られていた。
 つまり、建国祭でのアレクシスの言葉は『れっきとしたお断りの返事』だったというわけだ。


(……話は繋がった。繋がったが……しかし、これは……)

 この二年間、度々抱いてきた違和感。
 それが解消されたことに、セドリックは一度は気を緩めたものの、再び気を引き締める。

 疑問は晴れたが、だからと言って、この問題が解決されたわけではない。

 それに……だ。

「殿下はお気付きにならなかったのでしょうが、リアム様はずっと、殿下をお守りくださっていたのだと思いますよ」

「……何?」