王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

「違うよ。

美姫と伊集院が仲良くしているところを見たくなかったんだ」



「え?」



「好きだから…伊集院と美姫の仲の良さに嫉妬してた。

好きなのに気付いたのは今日だけど。

困らせてごめんね」



少し冷静になるためにも、

美姫と距離をとろうとした。



すると、美姫が俺の腕を掴んで、

「わ、私も好きです」

と言って抱きついてきた。



急に抱きしめられドキドキするのと同時に、

ある疑問が思い浮かんだ。



「え?伊集院のことが好きなんじゃないの?」



「翔はただの幼なじみです。

よく碧人様の話も聞いてもらって、相談にのってもらっていたので、翔もただの幼なじみだと思っているはずです。」



「そ、そうだったんだ…」



ーだから伊集院のところに言ったとき、

誓いのキスについてニヤニヤしながら聞いてきたのか。



「わ、私は碧人様と出会ったときから、

ずっとお慕いしていました。」



ー俺と美姫が初めて会ったのは10歳のときだから、8年も思いつづけてくれた…ということなのか。



あまりの衝撃に圧倒されていた。



「ご、ごめん。美姫は伊集院のことが好きだとずっと思っていたから、びっくりしちゃって…」



「い、いえ大丈夫です。

私も碧人様が緊張をほぐすために、

他に好きな人がいるのに『好き』と言ってくれたと勘違いしてしまって…」



お互いまた緊張して、沈黙になってしまう。



「俺も本当に好きだよ。

美姫が好きと言ってくれて、本当に嬉しい。」



「私も嬉しいです」



美姫が顔を真っ赤にしながら微笑んでくれた。



「ご、ごめん続きをしてもいいかな?」



「は、はい。もちろん」



お互い緊張しながらも、

また美姫を押し倒した。



「好きだよ、本当に」